第3回

栗の花

2025.6.7

6月、再び善継さんの栗畑を訪ねました。

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高台に立つと、青々と葉を茂らせた栗の木々が風にそよぎ、一面に広がる緑が目に飛び込んできます。右端に見える畑は、もともと別の方が耕していたものでしたが、引退を機に善継さんが引き継いだそうです。80代のいまもなお、現役真っ只中で栗園を増やしていくエネルギーは留まるところを知りません。

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雄花と雌花

園内を歩くと、白くふさふさした房が枝から垂れ下がっていました。6月から7月にかけて、栗は白い穂状の雄花を一斉に咲かせ、独特の匂いをあたりに漂わせます。雄花は大量の花粉を飛ばして風や昆虫によって受粉します。 盛りを過ぎると花は白から茶色へと変わります。

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一方、枝の間のところどころに見られる小さな丸い突起が雌花です。一見目立ちませんが、イガの赤ちゃんのようなものが頭から顔を覗かせているのがわかります。この部分がやがて緑色のイガに包まれ、秋には私たちが知る栗の実となります。

雄花と雌花は同じ株にありますが、だからといって自分の枝の花粉を受粉しても実がなるわけではありません。風媒や虫媒によって、他の栗の樹の雄花から受粉することで実になります。とくに栗は風媒が主で、2〜3品種の木を混ぜて植えることで実が確実につきます。

花の季節は秋への準備

こちらは前回接ぎ木をしたもの。新芽や葉が旺盛に育っています。

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こうなると接ぎ木したところに負担がかかるため、余分な枝や葉を切り落とします。

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善継さんは「花の時期は特に大きな作業はありません」と言いますが、こまめに細やかに枝を観察しながら手入れを怠りません。枝葉が込み入って風通しが悪くなると病害虫の原因になるため、手で葉や若枝を取り除いていきます。

こんもりと枝葉が混み合った作業前の枝が、葉や若枝を取り除くとすっきり風通し良く枝ぶりも美しくなりました。こうすることによって、次の作業も格段に楽になるそう。

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作業前
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作業後

秋の実りを見据えて絶え間ない手入れが続きます。

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「夏は栗の花、冬は雪景色。京丹波町は年に二度、山が白くなるんですよ。この町にもっと栗の木を増やして、夏と冬の白い山を町の風物詩にしたい。それが今の私の夢です」と善継さん。花が終わるとやってくる大忙しの収穫期を前に、笑顔がいっそう輝いています。